ジェトロが報告した米国最大級の自然・オーガニック製品見本市「Expo West 2025」について、米国食品市場の最新トレンドと今後の方向性を分析したものです。
2025年3月にカリフォルニア州アナハイムで開催されたExpo Westには、世界80カ国から3,500社以上が出展し、8万人を超えるバイヤーや業界関係者が来場しました。本見本市は、自然・オーガニック食品業界の動向を占う重要なイベントとして位置づけられており、ここで注目された製品やトレンドは、今後の米国食品市場全体に大きな影響を与えることが予想されます。
今年の主要トレンドとして、植物性代替品の更なる進化が挙げられます。従来の大豆やアーモンドに加え、オーツ、ヘンプ、マッシュルームなど多様な原料を使用した製品が登場し、味や食感の改善により主流市場への浸透が進んでいます。特に、発酵技術を活用した次世代の代替肉・代替乳製品は、栄養価と味の両面で従来品を大きく上回る品質を実現しています。
機能性食品分野では、腸内環境改善、免疫力向上、メンタルヘルスサポートを謳う製品が急増しています。プロバイオティクス、プレバイオティクス、ポストバイオティクスを組み合わせた「シンバイオティクス」製品や、アダプトゲン（ストレス適応を助ける植物由来成分）を配合した飲料・スナックなどが注目を集めました。また、個人の遺伝子情報や腸内細菌叢に基づくパーソナライズド栄養製品も登場し始めています。
持続可能性への取組も一層強化されており、リジェネラティブ農業（環境再生型農業）認証製品、カーボンニュートラル認証製品、アップサイクル食品（食品廃棄物を活用した製品）などが増加しています。パッケージングにおいても、コンポスタブル（堆肥化可能）素材や再利用可能容器の採用が進んでいます。
記事は、米国の自然・オーガニック食品市場が、健康志向、環境意識、技術革新の3つの軸で急速に進化しており、日本企業にとっても重要な参入機会となることを示唆しています。