石破総理が実施したインドのモディ首相との宮城県訪問後の記者会見について、具体的な会話内容と今後の日印協力の方向性を詳述したものです。
新幹線技術協力の具体的進展
両首脳は東北新幹線で仙台まで1時間半移動し、その間ずっと鉄道について話し合いました。モディ首相は東海道新幹線には乗車経験があったものの、東北新幹線は初めてで、実際に運転席で速度を体感し、その快適性を実感しました。日本の9倍の国土を持つインドでの高速鉄道導入について、経済発展への寄与、料金設定、人と貨物の輸送、さらには夜行寝台車の可能性まで幅広く議論が交わされました。
大宮駅では、インドへの導入を検討している新型車両E10系の試験車両「ALFA-X」を視察しました。E10系は世界初の技術であるため実車両はまだ存在しませんが、試験車両を通じてインド向け高速鉄道技術の具体的なイメージを共有しました。これは安倍政権から菅政権、岸田政権を経て石破政権まで一貫して推進してきた日本の新幹線技術・車両採用への重要な一歩となりました。
半導体産業での戦略的協力
東京エレクトロンの半導体製造装置製造拠点では、インドへの納入予定装置を共同視察しました。これは単なる輸出ではなく、日本企業の輸出先多様化とインドの半導体産業発展が相互に利益をもたらす双方向協力の具体例として位置づけられています。両国が協力して半導体サプライチェーンの強靱化と経済安全保障の強化を推進することで合意しました。
アフリカ・インド洋地域での戦略的連携
先週のTICAD(アフリカ開発会議)の成果を踏まえ、アフリカ、インド、インド洋を一体の地域として捉える戦略的視点で深く議論しました。日本もインドもアフリカ支援において平和構築、生活向上、治安安定化という共通の価値観を持っており、この地域の人々の幸福実現に向けた協力で完全に一致しました。
包括的協力成果と今後の展望
今回の首脳会談では、首脳レベル成果文書5件、政府間覚書10件、民間企業覚書170件という大規模な協力合意が成立しました。日米豪印(QUAD)の枠組みにおいて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日本の役割が極めて重要であることを再確認し、アメリカの関与を含めた実効性のある協力体制構築への理解を深めました。
記事は、今回の宮城訪問が単なる親善訪問を超えて、高速鉄道技術、半導体産業、アフリカ・インド洋戦略、QUAD協力など多岐にわたる分野での具体的協力関係を大幅に発展させる重要な成果を上げたと結論づけています。