内閣府経済社会総合研究所は2025年7月1日、令和7年6月実施分の消費動向調査結果を公表した。調査結果によると、消費者マインドは持ち直しの動きがみられ、基調判断が上方修正された。
本調査は全国約8,400世帯を対象に実施され、消費者の今後半年間の見通しについて調査を行っている。消費者態度指数は、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4つの消費者意識指標から構成されており、それぞれが消費者の将来見通しを反映している。
特に注目すべきは、実質賃金の動向や物価上昇の影響を受けやすい「暮らし向き」指標と、労働市場の需給バランスを消費者目線で捉えた「雇用環境」指標の改善である。また、耐久消費財の買い時判断も改善傾向を示しており、自動車や家電製品等の高額商品に対する購買意欲の回復がうかがえる。
物価の見通しについては、消費者の物価上昇期待が日本銀行の金融政策や国際的な資源価格の動向、為替レートの変動などを背景に形成されている。世帯属性別では、若年層が雇用環境への関心が高く将来の収入増への期待を示す一方、高齢層は年金生活における物価上昇の影響への懸念を抱いている。
本調査結果は、GDP成長率や個人消費などの主要経済指標の先行指標として機能しており、経済政策の立案においても重要な参考資料となっている。消費者マインドの改善は、今後の経済成長の持続可能性を示唆する重要なシグナルと言える。