ラオスの憲法改正の要点と意義~「転換」実現への模索

2025年3月のラオス憲法改正概要

ジェトロ・アジア経済研究所の南波聖太郎研究員による分析によると、ラオスが2025年3月22日に実施した10年ぶりの憲法改正は、ラオス人民革命党が2021年に提唱した「転換」路線を国家建設の指針として明記する歴史的変革となった。

「転換」路線の背景と経済構造の課題

経済成長偏重の弊害:

  • 公的債務対GDP比率: 2011年43% → 2018年60%へ悪化
  • 所得格差(ジニ指数): 2002年32.6 → 2018年38.8へ拡大
  • 2022年には公的債務残高がGDPを上回り債務不履行の懸念

「独立自主経済」論の導入: 外部依存性の高い経済構造からの脱却を目指し、自立的な国家経済構築を主眼とする理論を憲法に明記。

地方行政制度の34年ぶり大改革

行政単位の再編:

  • 新制度: 県・郡・タセーンの3段階(村は「コミュニティの組織」に変更)
  • タセーン復活: 全国148郡に3~5つずつ設置予定
  • 予算権限: タセーンが独自予算案を作成し県議会に提案可能

統治システムの強化:

  • タセーン長に原則公務員を配置(旧村長は住民選挙制で非公務員)
  • 末端行政の管理強化により中央方針の徹底を図る
  • 農村開発の推進と都市・農村格差の是正が目的

行政委員会制の復活と地方分権の進展

集団指導体制への回帰:

  • 首長制を廃止し34年ぶりに行政委員会制を復活
  • 委員長・副委員長・委員による集団指導で首長の専制を防止
  • 県級では地元出身幹部の権限拡大の可能性

汚職防止強化と幹部任期制限の拡大

国家検査機構の権限強化: 憲法で初めて同機構の権限を規定し、法案提出権も付与

任期制限対象の拡大: 国会・県議会議長、分科委員会長、最高裁長官、最高検察院院長、国家検査・監査機構長を新たに対象に追加(連続2期上限)

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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