金融安定理事会（FSB）が公表した「ノンバンク金融仲介（NBFI）のデータ面の課題に対処するための作業計画」について報告したものです。
金融安定理事会（FSB）は、2025年7月16日にノンバンク金融仲介（NBFI）セクターに関するデータ収集と分析の改善を目指す作業計画を公表しました。NBFIは、銀行以外の金融機関や金融活動を指し、グローバル金融システムの約半分を占めるまでに成長していますが、その活動に関する包括的なデータが不足していることが課題となっています。
本作業計画は、2020年3月のコロナ危機時に明らかになったNBFIの脆弱性を踏まえ、より効果的な監視と政策対応を可能にするために策定されました。計画の主要な目的は、NBFIセクターのリスクと脆弱性をより正確に把握するためのデータギャップを特定し、それらに対処することです。
作業計画の主要な要素としては、以下の点が挙げられています。第一に、既存のデータ収集フレームワークのレビューと改善で、特にFSBのグローバルモニタリング・エクササイズの強化が含まれます。第二に、新たなデータソースの開拓で、特にクロスボーダー取引、デジタル資産、非銀行金融サービスプロバイダーに関するデータが対象となっています。第三に、国際機関や各国当局間でのデータ共有の促進です。
また、作業計画では、データの標準化と比較可能性の向上、プライバシー保護とデータセキュリティへの配慮、そして新たな技術（人工知能や機械学習など）の活用も重視されています。これらの取り組みを通じて、NBFIセクターのリスクをより正確に把握し、金融システム全体の安定性を高めることを目指しています。
FSBは、この作業計画を各国当局や国際機関と協力して実施し、定期的に進捗状況を報告するとしています。また、データギャップの解消には時間がかかることを認識しつつも、段階的なアプローチで着実に改善を進める方針です。
記事は、NBFIセクターのデータ整備は金融システムの安定性確保のための重要な基盤であり、この作業計画がその実現に向けた重要なステップであると結論づけています。