本文、財務省「ファイナンス」誌のライブラリー欄で渡部晶氏による與那覇潤著『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』(文藝春秋、2025年5月刊)の書評である。本書は、評論家の與那覇潤氏が文芸評論の手法を用いて戦後史を再検討した作品で、「文芸批評こそが『分断を乗り越える』方法である」という確信に基づいて執筆されている。構成は、「ベース・キャンプにて 歴史が消えてからのまえがき」に始まり、前篇「戦後史の峰に登る」では、人間宣言(太宰治『斜陽』)、社会党政権(椎名麟三『永遠なる序章』)、六全協(柴田翔『されど われらが日々―』)、ふたつの安保(庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』)、沖縄返還(村上龍『限りなく透明に近いブルー』)の5つの時代の転換点を文学作品を通じて描いている。中間部「ヒュッテでの一夜『満洲国』のあとで 大佛次郎から村上春樹へ」で全体をつなぎ、後篇「現在への坂を下る」は論考集として江藤淳と加藤典洋关于の考察を収録している。與那覇氏は、「『江藤淳と加藤典洋』といっしょに歩くような気持ちで、敗戦から現在まで80年間をつなぐ道のりに、もう一度足跡をつけてみたい」として、加藤典洋の小説読解の手法を歴史にも適用することを試みている。書評者は特に「満州国の夢は敗戦とともに蜃気楼と化して消えたが、戦後という時代を通じて『日本』も此外,取り戻されるよりも擦り減っていったのだ」という深い考察を評価している。此外,最近の歴史学者が「リトマス試験紙の思想」(他者や異論を対等に遇する感覚すらない)に陥っていることへの與那覇氏の批判的視点も紹介されている。東畑開人氏による読売新聞書評も引用し、「遠かった昔々が、私とあなたの今の一部になる。そ為了に、昔と今のあいだを振り返るべく一緒に歩む人が必要である。それこそが歴史家の仕事」という與那覇氏の歴史観を評価している。
ライブラリー:與那覇 潤 著「江藤淳與加藤典洋 戦後史歩きなおす」
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