本記事は、令和7年度税制改正によりグローバル・ミニマム課税の一連のルール導入が完了したことを受け、主税局参事官室がその全体像と国内法体系との関係を整理したものである。グローバル・ミニマム課税は、2012年にOECD租税委員会が立ち上げたBEPSプロジェクトの流れを汲み、2021年10月にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み(IF)」において合意された「2本の柱」のうち「第2の柱」を具体化する仕組みである。第1の柱は、経済のデジタル化により市場国に物理的拠点(PE)を置かずにビジネスを行う企業が増加し、「PEなければ課税なし」の原則下で十分な課税ができない問題に対応するもので、多数国間条約の締結により市場国への課税権配分を目指しているが、現在も交渉が継続中である。第2の柱であるグローバル・ミニマム課税は、低税率や優遇税制による外国企業誘致競争(法人税引下げ競争)により各国の法人税収基盤が弱体化し、企業間の公平な競争条件が阻害されることを防ぐため、一定規模以上の多国籍企業グループに国際的に合意された最低税率15%以上の税負担を確保することを目的としている。グローバル・ミニマム課税は3つのルールで構成される。①所得合算ルール(IIR)は、子会社等の所在地国での実効税率が15%未満の場合、その不足分を親会社等に課税する仕組み。②軽課税所得ルール(UTPR)は、親会社等の所在地国での実効税率が15%未満の場合、その不足分を子会社等に課税する仕組み。③国内ミニマム課税(QDMTT)は、自国内の実効税率が15%未満の場合に追加課税を行う仕組みである。各国は多数国間条約ではなく国内法により導入することが前提とされており、導入は強制されないが、導入する場合はモデル・ルール及びコンメンタリに沿った仕組みとすることが求められる(コモン・アプローチ)。今後、各国の制度内容や執行状況はIFのピア・レビューを通じて確認される予定である。本稿は、これらの制度の法制化について、国際的議論の経緯、国内法令の内容、既存の法人税体系との関係で生じ得る法的論点を包括的に解説する重要な文献となっている。
グローバル・ミニマム課税の法制化について
※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。