農畜産業振興機構が報告した韓国のパプリカ産業について、ICT技術の活用による生産性向上と国内消費拡大の実態を詳細に分析したものです。
韓国のパプリカ産業は、1990年代後半から本格的に始まり、現在では世界有数の生産国となっています。特筆すべきは、スマート農業技術の導入による飛躍的な生産性向上です。韓国政府は農業のICT化を積極的に推進しており、パプリカ栽培においても最先端の環境制御システムが導入されています。温室内の温度、湿度、CO2濃度、日射量などをセンサーで常時モニタリングし、AIを活用した最適制御により、年間を通じて安定した高品質なパプリカの生産が可能となっています。
生産量の増加に伴い、韓国国内でのパプリカ消費も著しく拡大しています。かつては輸出中心だった韓国産パプリカですが、近年は国内市場向けの供給が増加し、一人当たりの消費量も急速に伸びています。これは、韓国料理へのパプリカの活用が広がったことや、健康志向の高まりによるカラフルな野菜への需要増加が背景にあります。また、品種改良により、韓国人の嗜好に合った甘みの強い品種の開発も進んでいます。
流通・マーケティング面でも革新が進んでおり、産地直送システムの確立、コールドチェーンの整備、ブランド化戦略などにより、高品質なパプリカを消費者に届ける体制が構築されています。さらに、輸出市場においても、日本を中心にアジア各国への展開が進んでおり、韓国産パプリカは国際競争力を持つ農産物として位置づけられています。
記事は、ICT技術と農業の融合による生産性向上と、それに伴う国内市場の成長という好循環を実現した韓国パプリカ産業の成功事例として、日本の農業にとっても参考となる内容を提供しています。