日本銀行が2025年8月の日銀当座預金増減要因と金融調節の実績データを公表しました。
当座預金残高の変動要因 2025年8月の当座預金は7,980億円の減少となりました(前年同月は19,587億円の増加)。主要な変動要因は以下の通りです:
銀行券要因: -768億円(前年同月: 2,044億円) 銀行券発行高は前年同月比2.0%減となり、2月から継続している減少傾向が8月も持続しました。月末発行高、月中平均発行高ともに前年同月を約2%下回り、現金需要の減少傾向を示しています。
財政等要因: -44,305億円(前年同月: -41,138億円)
- 一般財政による資金供給: 58,187億円(国税収入や支出による流動性への影響)
- 国債発行・償還: 発行により108,230億円の資金吸収、償還により24,195億円の資金供給で、差引84,035億円の資金吸収
- 国庫短期証券: 発行238,506億円、償還246,999億円で、差引8,493億円の資金供給
- 外国為替資金: 41億円の資金供給
- その他: 26,991億円の資金吸収
金融調節による対応 資金過不足(45,073億円の資金不足)に対し、日銀は以下の金融調節を実施:
- 国債買入による資金供給: 36,053億円(前年同月: 52,630億円)
- CP等買入: 1,081億円の減額(償還超過)
- 社債等買入: 779億円の減額
- その他オペレーション: 共通担保オペ、被災地金融機関支援オペ等を継続実施
経済的意義と政策含意 この統計は日銀の金融政策運営の透明性確保と市場への情報提供を目的としており、短期金融市場の流動性状況と政策手段の効果を詳細に示しています。国債買入が前年同月比で減少していることは、金融政策正常化の過程での調節手法の変化を反映している可能性があります。銀行券発行高の継続的減少は、キャッシュレス化進展による現金需要構造の変化を示唆しています。
この月次データは金融機関の資金繰り管理、短期市場参加者の取引戦略立案、金融政策分析において重要な基礎資料として活用されています。