経済産業省が策定したグリーンイノベーション基金事業における「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトの研究開発・社会実装計画の改定案について、具体的な開発計画とロードマップを示したものです。
本改定案は、ペロブスカイト太陽電池を中心とした次世代技術の実用化に向けて、より詳細な実施計画と目標を定めています。プロジェクト総額は約500億円規模で、2030年代前半の本格的な市場投入を目指した研究開発が推進されます。
技術開発ロードマップ
改定案では、3段階の開発フェーズが設定されています。第1フェーズ（2022-2025年）では、ラボスケールでの要素技術開発と小型モジュールでの性能実証を行います。第2フェーズ（2025-2028年）では、パイロットラインでの製造技術開発と中型モジュールでの実証を実施します。第3フェーズ（2028-2032年）では、量産技術の確立と大規模実証プロジェクトを展開します。
研究開発テーマと目標値
具体的な研究開発テーマとして、5つの重点項目が設定されています。第一に、ペロブスカイト材料の高性能化（変換効率25％以上）、第二に、封止技術の開発（耐久性20年以上）、第三に、大面積製造技術（1m²以上のモジュール）、第四に、フレキシブル基板技術、第五に、リサイクル技術の開発が含まれています。各テーマには明確な数値目標とマイルストーンが設定されています。
実施体制と参画機関
プロジェクトには、大学・研究機関、素材メーカー、装置メーカー、エネルギー企業等、約30機関が参画予定です。中核となる研究開発拠点を産業技術総合研究所に設置し、オープンイノベーション型の研究開発を推進します。また、海外の先進研究機関との連携により、グローバルな技術開発競争に対応します。
事業化シナリオと市場展望
2030年時点での事業化目標として、製造コスト15円/W以下、国内生産能力1GW/年以上が設定されています。初期市場として、建材一体型太陽電池（BIPV）市場への参入を計画し、その後、車載用、農業用等への展開を図ります。2040年には国内市場規模1兆円、海外展開を含めて3兆円規模の市場創出を目指しています。
規制改革と標準化戦略
次世代太陽電池の普及に向けて、建築基準法等の規制改革、JIS規格の整備、国際標準化活動への参画が計画されています。特に、フレキシブル太陽電池の安全基準策定、BIPV製品の性能評価方法の標準化等が重要な課題として位置付けられています。
記事は、次世代型太陽電池の開発プロジェクトが具体的な実施段階に入り、日本の太陽電池産業の復活に向けた総合的な取り組みが進展していることを示しています。