2025年6月第3次産業活動指数の公表結果と景気動向分析
経済産業省は、2025年6月の第3次産業活動指数を8月18日に公表した。季節調整済指数は105.0(2019-2020年平均=100)となり、前月比0.5%の上昇を記録し、3か月連続の上昇となった。原指数でも105.0で前年同月比3.3%の増加となり、サービス産業全体の回復基調が継続している。政府は6月時点の基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」に上方修正した。
業種別動向と上昇要因の詳細分析
上昇に寄与した主要業種では、運輸業・郵便業が前月比3.3%上昇し、寄与度0.28ポイントで最大の押し上げ要因となった。内訳では一般貨物自動車運送業が物流増加により上昇し、タクシー業・バス業も好調に推移した。電気・ガス・熱供給・水道業は前月比4.1%上昇(寄与度0.16ポイント)し、全国的な高気温による冷房需要増加が主因となった。小売業では機械器具小売業の情報家電販売増加、その他小売業の季節商品販売好調により前月比0.7%上昇した。
下押し要因となった業種の課題分析
一方、低下した業種では情報通信業が前月比0.9%低下し、寄与度マイナス0.12ポイントとなった。ソフトウェア業と情報処理・提供サービス業の両分野で活動が鈍化した。不動産業は前月比1.0%低下(寄与度マイナス0.09ポイント)し、戸建住宅・マンション売買仲介の減少が主因となった。生活娯楽関連サービスでは、猛暑の影響による来客数減少で飲食店・飲食サービス業が低下し、宿泊者数減少によりホテル・旅館業も不振となった。
サービス産業構造と政策的含意
広義対個人サービスは前月比0.7%上昇、広義対事業所サービスは1.1%上昇と、両分野とも堅調な拡大を示した。10業種中7業種が上昇、3業種が低下という構造は、サービス経済の多様化と個別業種の特性差を反映している。今回の結果は、コロナ禍からの回復過程において、デジタル化の進展、ライフスタイル変化、気候変動への適応などがサービス産業に与える影響の複雑さを示している。経済産業省では、継続的なモニタリングにより政策対応の精度向上を図っている。