60秒早わかり解説：2040年は時給5366円？ 経済産業政策の新機軸ってなに？（３）

経済産業省は「経済産業政策の新機軸」の第4次中間整理において、2040年の日本経済の将来見通しを推計した。この推計によると、200兆円の国内投資目標を達成すれば、賃金は現在の春季労使交渉ベースの約5％と同水準の上昇が続き、フルタイム・パート合計の時給換算で現状の2倍となる5,366円に到達するという。これは、コストカット型の縮み思考から脱却し、投資と賃上げが牽引する成長思考への転換を実現することを前提としている。物価については、現在の資源価格高騰による急激なインフレではなく、2％の緩やかな上昇が安定的に継続することを見込んでいる。具体的には、1,000円の商品が約1,457円まで上がる想定だが、時給は2,885円から5,366円と物価上昇幅を上回るため、実質賃金は約1.3倍となり、生活に余裕ができ新たな消費も増える見通しだ。この賃金水準は現状の英仏と同水準であり、諸外国がこれまで実現してきた物価と賃金の上昇に追いつくという想定である。GDP1,000兆円達成には産業構造の転換が不可欠で、新機軸では①製造業、②情報通信業・専門サービス業、③エッセンシャルサービス業の三つに分けて必要な転換を示している。将来に明るい展望を持つことで、投資と消費の好循環を生み出し、持続的な経済成長を実現しようとする政策である。