金融庁が2025年7月4日に公表した「FSA Analytical Notes(2025.7)」は、定量的分析手法とテキストデータ分析手法を組み合わせて銀行の気候関連リスクへの取り組みを包括的に分析したレポートです。
主要なポイント
温室効果ガス(GHG)排出量の定量的分析
- 銀行の温室効果ガス排出量に着目した定量的な分析を実施
- 業態や個別要因により差異はあるものの、総じて銀行のGHG排出量は減少傾向にあることを確認
- 金融機関ごとの排出量データを詳細に分析し、全体的なトレンドを把握
- 減少傾向の要因について、業態別の特性を考慮した分析を実施
テキストデータ分析によるディスクロージャー誌の分析
- 大規模言語モデル(LLM)等の先進的なテキストデータ分析手法を活用
- 各銀行のディスクロージャー誌における気候変動関連の記載内容を体系的に分析
- 定量分析で確認されたGHG排出量の減少傾向と整合的に、気候変動に関する記載が増加していることを確認
- 銀行の気候変動への取り組みに関する情報開示の質的・量的な変化を把握
包括的な分析アプローチの試行
- 定量的手法とテキスト分析手法を組み合わせた包括的な分析フレームワークを構築
- 数値データと定性的な情報の両面から銀行の気候変動対応を評価
- 複数の分析手法を統合することで、より多角的な実態把握が可能になることを実証
- 今後の気候関連リスク分析の新たな方法論として活用可能
データ活用高度化の推進
- 金融行政におけるデータ活用の高度化は中長期的な重要課題として位置づけ
- 組織としてのデータ分析力向上とデータ整備への取り組みを継続的に推進
- 高粒度データと先進的な分析手法の組み合わせにより、金融行政の不断の改善を目指す
- FSA Analytical Notesシリーズを通じて、分析事例を継続的に公表する方針
記事は、金融庁が気候関連リスクの分析において定量的手法と定性的手法を融合した先進的なアプローチを採用し、銀行セクターの気候変動対応の実態をより正確に把握しようとしていることを示しています。