農林水産省大臣官房統計部が令和7年8月8日に公表した令和6年産地水産物用途別出荷量調査結果について、水産物の出荷量割合と用途別利用状況を詳細に分析した統計調査報告です。
令和6年の水産物の出荷量（32漁港・19品目）は103万5,109tとなりました。用途別にみると、養殖用又は漁業用餌料向けが32万7,459t（出荷量割合31.6%）で最も割合が高く、次いで生鮮食用向けが27万9,955t（同27.0%）となっています。
主要品目別の出荷状況では、まいわしの用途別出荷量割合は、養殖用又は漁業用餌料向けが42.7%で最も高く、次いで魚油・飼肥料向けが38.5%となっています。令和6年用途別出荷量は455,521tを記録し、餌料用途での利用が中心となっています。
さば類については、養殖用又は漁業用餌料向けが58.8%で最も高く、次いで缶詰向けが14.5%となっています。令和6年用途別出荷量は187,168tで、まいわし同様に餌料用途が主体となっています。
まあじでは、用途別出荷量割合が生鮮食用向けが41.9%で最も高く、次いでその他の食用加工品向けが35.9%となっており、他の魚種と異なり食用利用が中心となっている特徴があります。
全体として水産物の出荷量割合は、餌料向けが最も高く3割超えとなっており、従来の食用中心から養殖業や漁業の餌料としての利用が拡大している構造変化が明確になっています。
調査対象は32漁港・19品目という限定的な範囲ではあるものの、日本の沿岸漁業における水産物の流通構造と用途の多様化を示す重要な統計として位置づけられています。
記事は、日本の水産業において従来の食用中心の出荷構造から、養殖業・漁業の餌料用途が3割を超える新しい利用パターンへの転換が進んでいることを具体的な数値で明らかにしています。