経済産業省が2025年7月29日に開催した第34回産業構造審議会総会の配布資料について解説したものです。
本総会では「経済産業政策の新機軸」第4次中間整理が主要議題となり、2040年に向けた長期的な産業政策の方向性が議論されました。第4次中間整理では、デジタル化とグリーン化を軸とした産業構造転換の具体的なロードマップが示され、特に半導体・蓄電池・バイオ製造業での国内投資促進策として総額15兆円規模の支援措置が盛り込まれています。米国関税措置に関する合意についても詳細が報告され、対米輸出における関税優遇措置の継続により年間約2,400億円の輸出効果維持が見込まれることが発表されました。
令和8年度経済産業政策の重点事項としては、サプライチェーン強靭化に向けた重要物資の国内生産基盤整備に1兆2,000億円、スタートアップ支援では10倍規模拡大を目指し年間投資額を現在の8,000億円から8兆円まで引き上げる方針が示されています。また、カーボンニュートラル実現に向けて、次世代太陽電池の量産化支援で2030年までに発電コストを現在の半分以下に削減し、水素サプライチェーン構築では年間300万トンの水素供給体制確立を目標として設定しています。
政策評価については、令和6年度に実施した95の政策事業のうち、目標達成率80%以上が78事業(82%)に達し、特にDX推進関連では企業のデジタル投資額が前年度比35%増加、GX関連では再生可能エネルギー導入量が目標を15%上回る成果を上げたことが報告されています。
記事は、日本の産業政策が長期的な国際競争力強化と国内投資拡大を両立させる包括的な戦略として展開されており、具体的な数値目標と予算措置を伴った実効性の高い政策パッケージであることを示しています。