独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が2025年7月2日に開催したBBLウェビナー「米中ハイテク摩擦化での日本の対応:3か国のイノベーションシステム比較から得られる知見」について報告したものです。
最先端技術分野をめぐる米中対立は、冷戦時代の米ソ対立を彷彿とさせる技術覇権争いへと発展しています。この講演では、東京大学先端科学技術研究センターの元橋一之教授(RIETIファカルティフェロー)が、日米中3か国のイノベーションシステムの国際比較に関する実証研究の成果を発表しました。特に、3か国における上場企業の特許情報とウェブサイトコンテンツの分析を通じて、各国のイノベーションプロセスの特徴と違いを明らかにしています。
ハイテク産業における米中デカップリングが進行する中で、日本がどのような戦略を採るべきかが重要な課題となっています。元橋教授は、実証研究から得られた知見に基づいて、日本が自国の強みを生かし、弱みを補完するための国際的協力関係を構築していく道筋を提示しました。経済産業省の福本拓也大臣官房審議官(GXグループ担当)兼イノベーション政策統括調整官がコメンテータを務め、政策面からの視点も交えた議論が展開されました。
記事は、日本が米中ハイテク摩擦の中で独自のポジションを確立し、イノベーションシステムの強化を通じて競争力を維持・向上させるための戦略的アプローチの重要性を示しています。