経済産業省が策定したグリーンイノベーション基金事業における「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトの研究開発・社会実装の方向性について、技術開発の重点分野と目標を示したものです。
日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、洋上風力発電を主力電源の一つとして位置付けており、2040年までに30~45GWの導入目標を掲げています。本プロジェクトは、この目標達成に向けて洋上風力発電の大幅なコスト削減を実現するための技術開発を推進するものです。
技術開発の重点分野
本プロジェクトでは、洋上風力発電のコスト削減に向けて以下の重点分野が設定されています。第一に、次世代風車技術の開発として、15MW級以上の大型風車の実現、浮体式洋上風力発電システムの最適化、日本の気象・海象条件に適した風車設計技術の確立が挙げられています。第二に、浮体式基礎の量産化・低コスト化技術として、コンクリート製浮体やハイブリッド浮体等の新たな浮体構造の開発、係留システムの最適化が重点課題となっています。
社会実装に向けた取り組み
技術開発と並行して、社会実装を加速するための環境整備も進められています。風車の設置・施工技術の高度化、O&M(運用・保守)の効率化、グリッド接続の最適化等、サプライチェーン全体でのコスト削減が追求されています。また、国内サプライチェーンの構築により、産業競争力の強化と地域経済への波及効果も期待されています。
目標とマイルストーン
2030年までに発電コスト8~9円/kWhの実現を目指し、段階的な技術実証とスケールアップが計画されています。2025年頃までに要素技術の開発を完了し、2020年代後半から実証プロジェクトを開始、2030年代前半の商業化を目標としています。国際競争力のある技術の確立により、アジア市場への展開も視野に入れています。
記事は、洋上風力発電の低コスト化が日本のエネルギー転換の鍵となる技術開発プロジェクトであり、官民連携による集中的な取り組みが進められていることを示しています。