ジェトロが紹介した日置電機のアフリカ市場への挑戦について、電気計測ソリューションを通じた市場開拓の取組を詳細に報告したものです。
日置電機は、1935年創業の電気計測器専門メーカーとして、オシロスコープ、パワーアナライザー、絶縁抵抗計などの高精度計測器で世界的に知られています。同社は2020年からアフリカ市場への本格参入を開始し、特に南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、エジプトを重点市場として事業展開を進めています。
アフリカ進出の背景には、同大陸における電力インフラ整備の加速があります。多くのアフリカ諸国では、電化率向上が国家の最優先課題となっており、発電所建設、送配電網整備、再生可能エネルギー導入が急ピッチで進められています。これらのプロジェクトには、高精度な電気計測器が不可欠であり、日置電機の技術力が高く評価されています。
同社の強みは、過酷な環境下でも安定して動作する堅牢性と、直感的な操作性を両立した製品設計にあります。アフリカの現場では、高温多湿、砂塵、不安定な電源環境など、計測器にとって厳しい条件が多く、これらに対応できる日本品質が差別化要因となっています。また、現地エンジニアのスキルレベルに配慮し、複雑な設定を必要としない使いやすさも重視しています。
販売戦略では、現地代理店との緊密な連携を基本としつつ、技術サポート体制の構築に注力しています。ヨハネスブルグとナイロビに技術センターを設置し、製品トレーニング、アフターサービス、技術相談を提供しています。特に、現地エンジニアの育成に力を入れており、定期的な技術セミナーの開催や、日本での研修プログラムも実施しています。
具体的な成功事例として、ケニアの地熱発電プロジェクトでは、日置電機の絶縁抵抗計と接地抵抗計が採用され、安全で効率的な発電所運営に貢献しています。また、南アフリカの製造業向けには、省エネ診断用のパワーアナライザーが好評を得ており、電力コスト削減に寄与しています。
記事は、日本の中堅企業がその技術力と顧客志向のアプローチにより、アフリカという成長市場で着実に存在感を高めている好例として、他の日本企業にとっても参考になる事例であることを示しています。