独立行政法人経済産業研究所(RIETI)が2025年7月10日に開催したBBLウェビナー「日本が豊かに成長していく上での構造的課題と成長・分配政策の方向性」について報告したものです。
本講演では、安倍政権「アベノミクス」や岸田政権「新しい資本主義」など、日本政府の経済政策の立役者として長年活躍し、現在はハーバード・ビジネス・スクールエグゼクティブ・フェローを務める新原浩朗氏が登壇しました。新原氏は、東京大学経済学部卒業後、ミシガン大学経済学部博士課程への留学、ハーバード大学経済学部客員研究員などの経歴を持ち、1984年に通商産業省に入省。内閣府政策統括官(経済財政運営担当)、経済産業省経済産業政策局長、内閣審議官(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局長代理)などの要職を歴任し、2024年9月30日に退官しました。現在は東京大学公共政策大学院および早稲田大学ビジネススクール客員教授として教鞭をとり、組織の経済学、創造性とイノベーションを専門分野としています。
講演では、安倍政権と岸田政権の成長政策を総括し、日本が豊かに成長していく上での構造的課題とボトルネックを明らかにしました。特に、長期にわたる経済停滞の要因分析、生産性向上の障壁、人口減少社会における成長戦略、イノベーション創出のための環境整備など、日本経済が直面する根本的な課題について深く掘り下げています。さらに、これらの課題を解決するための成長・分配政策の方向性について、政策立案の現場での豊富な経験に基づいた具体的な提言が示されました。
コメンテータとして経済産業省経済産業政策局競争環境整備室長の池田陽子氏(RIETIコンサルティングフェロー)が参加し、RIETI所長・CRO・EBPMセンター長の冨浦英一氏がモデレータを務めた本セミナーでは、政策実務と学術研究の両面から、日本の持続的な経済成長を実現するための道筋について活発な議論が展開されました。
記事は、日本が構造的課題を克服し、豊かな成長を実現するためには、成長と分配の好循環を生み出す包括的な政策アプローチが不可欠であることを示しています。