2025年5月21日から23日に千葉県幕張メッセで開催された日本最大の防衛装備展示会「DSEI Japan 2025」について、現地視察を通じて得られた防衛産業と装備品のトレンドを分析したものです。
主要なポイント
1. DSEI Japan 2025の規模拡大
- 33の国と地域から471の企業・団体が出展(前回約250社から約1.6倍増加)
- 日本企業の出展は169社(前回86社から倍増)
- 来場者数は約14,000人を見込む
- 2022年末の「戦略3文書」公表以降の防衛費増加と防衛産業強化政策を反映
- 防衛省、防衛装備庁、経済産業省等の省庁や業界団体が後援・協賛
2. 協調戦闘機(CCA)の技術動向
- 有人戦闘機に随伴して作戦行動を行う自律型UAVとして注目
- 各国の共通項:役割の特化・分散、高い損耗許容性と低コスト設計、AIによる高自律性
- ゼネラルアトミクス社:米空軍CCA候補のYFQ-42Aを展示
- 三菱重工業:1/10縮尺のCCAコンセプトモデルを展示、部品の標準化・モジュール化を強調
- 川崎重工業:「連携無人機(支援型)」として偵察・電子戦装備を想定したCSAを展示
3. 中小・新興企業の参入促進
- 「Japanese New Comerゾーン」を設置し、26社のスタートアップ・ベンチャー企業が出展
- デロイトトーマツ社が後援し、防衛ソリューションを持つ日本企業の出展を支援
- 段ボール製手投げドローン、宇宙状況監視、防衛AIソリューション等を展示
- 政府調達への参入促進と防衛プライム企業との連携模索の場として機能
- 国際的な防衛サプライチェーンへの日本企業組み込みを促進
4. 両用技術・サービスの展開
- OSINT分析:バベルストリート社がサプライチェーンのベンダー審査への応用を提案
- データ統合・分析:パランティア社がAI活用の意思決定支援システムを展示
- 無人機システム:ウクライナ企業6社が楽天グループ協力下で出展、低コスト・高生産性を追求
- 代理店・商社機能:アーマトゥス社等が日米双方向での防衛テック企業の事業展開を支援
5. カタル防衛産業の動向
- バルザーン・ホールディングスが弾薬、自動小銃、対UAV装備等を展示
- 2017年のカタル外交危機を契機に防衛産業の内製化(ローカライゼーション)を推進
- 欧米との関係維持と自律性向上の両立を目指す
- 日本の防衛企業とのパートナーシップ構築を模索
- 14カ国が国単位でのパビリオンを出展し、国際的プレゼンスを示す
記事は、DSEI Japan 2025が防衛産業の急速な変化とトレンドをキャッチする重要な機会であり、技術革新、産業構造の変化、地域政治の観点から継続的な動向分析が必要であると結論づけています。