電力の需要と供給の基本概念と電力系統の安定運用に関する仕組みについて解説したものです。
電力需給とは文字通り電力の需要と供給のことで、私たちが必要とする電力の量と実際に発電し提供される電力の量を指します。電気は大量に貯めておくことができないという特性があるため、需要と供給のバランスを常時保つことが極めて重要となっています。そのため電力会社は使用される電力量を事前に予測し、予測に合わせて発電量を調整する運用を行っています。
電力供給の安定性確保のため、気温の急激な変化による需要の増加や設備トラブルによる供給力低下などの万が一の事態に備えて、供給する電力量は想定される最大需要より多めに確保しておく必要があります。この多めに確保した余力分を「供給予備力」と呼び、最大需要に対する供給予備力の割合を「予備率」と呼んでいます。電力の安定供給には予備率3％が最低限必要とされており、これを下回ると停電リスクが高まるとされています。
一方、電力各社が一般向けに公表している「でんき予報」では「電力使用率」という指標が使用されています。これは予備力も含めた供給力に対して、使われる電気の最大需要の割合を示したもので、電力使用率が100％を超えると停電の恐れがあります。そのため92％以上97％未満を「厳しい」、97％以上を「非常に厳しい」として段階的な注意喚起を行い、節電への協力を呼びかけています。
本記事は2025年8月5日に経済産業省METI Journal ONLINEの「知っておきたい経済用語」シリーズの一環として公開され、電力システムの基本的な仕組みを一般向けにわかりやすく説明する内容となっています。
記事は、日常生活に不可欠な電力供給の安定性がどのような仕組みで維持されているかを理解するための基礎知識を提供していると評価されています。