国民経済計算(SNA)の枠組みにおいて、家計部門の所得と消費の分布をどのように計測すべきかについて検討した研究論文です。
主要なポイント
1. 研究の背景と目的
- 従来のSNAは集計値ベースの統計であり、分布情報が不足
- 経済格差や不平等の分析には分布統計が不可欠
- 国際的にも分布統計の重要性が認識され、統計整備が進展
- 日本のSNA体系に分布統計を組み込む方法論を検討
2. 分布統計の必要性
- マクロ経済の集計値だけでは経済実態を十分に把握できない
- 所得階層別、世帯属性別の消費行動の違いを分析する必要性
- 政策効果の分配的影響を評価するための基礎データとして重要
- 国際比較可能な統計整備の観点からも必要
3. 計測手法の検討
- ミクロデータとマクロデータの整合性確保が課題
- 家計調査等の既存統計を活用した分布推計の方法論
- SNAの概念・定義との調整方法
- データの補完・推計手法の開発
4. 主要な分析結果
- 所得分布と消費分布の特徴を明らかに
- 世帯属性による消費パターンの違いを定量化
- マクロ集計値と整合的な分布統計の作成可能性を示唆
- 時系列での分布変化の把握方法を提示
5. 政策的含意と今後の課題
- 経済政策の分配的効果をより正確に評価可能に
- 社会保障政策や税制改革の影響分析に活用
- データ整備と推計手法の更なる精緻化が必要
- 国際的な統計基準との調和を図る必要性
記事は、SNAに分布統計を組み込むことで、より包括的な経済分析が可能となり、エビデンスに基づく政策立案に貢献できると結論づけています。