大阪・関西万博の日本館における革新的なバイオガスプラントの実装について、その仕組みと意義を解説したものです。
日本館は「ごみを食べる、生きたパビリオン」というコンセプトを実現するため、パビリオン内に実際に稼働するバイオガスプラントを設置しています。会場内で集められた生ごみは日本館へ毎日運び込まれ、破砕機で細かく破砕された後、メタン発酵槽で発酵させることでバイオガスが発生します。このバイオガスを集めて発電機で発電し、生み出された電気は館内で利用されています。プラントエリアの展示は、こうした日本館のバックヤードで実際に行われているプロセスをベルトコンベアや光のインスタレーションで表現したものです。
生ごみから出る水の浄化システムも注目すべき点です。最初は不純物を含む排水ですが、日本館では徹底的に浄化しています。まず浄化装置を用いて段階的に水を浄化し、さらにろ過膜を通して微細な不純物を除去します。最終的には、日本館中央の水盤に送られ、来場者が目にする澄んだ水は実際に「ごみから水へ生まれ変わった姿」となっています。この水の変化のプロセスは、生ごみの状態から水盤に送られるまでの各段階で視覚的に確認できるよう工夫されています。
特別プログラムとして「日本館バイオガスプラント見学ツアー」も用意されており、ヘルメットをかぶって実際に稼働しているプラントのバックヤードを見学できます。生ごみを集めて破砕する機器、発酵槽、発電機、浄化設備などを直接見ることができ、日本館の真の姿を理解する絶好の機会となっています。
記事は、日本館が従来の「展示物を飾る建物」という万博パビリオンの概念を根底から覆し、リアルなプラントを動かす革命的な存在であると評価しています。