経済産業省が公表した「EC市場拡大で宅配便が急増中!?」について、コロナ禍を経たネットショッピングの拡大と宅配便業界の成長を統計データから分析したものです。
第3次産業活動指数によると、宅配貨物運送業は2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅に上昇し、その後横ばいで推移しています。三密回避やおうち時間の拡大により、実店舗に行かなくても様々な物を簡単に購入できるネットショッピングの利用が増加したことが主要因と分析されています。
通信機器の保有状況では、総務省の令和5年通信利用動向調査によると、スマートフォンの保有率が急激に拡大し、2022年以降は9割を超えています。一方でパソコンは下降傾向にあり、2017年にはスマートフォンがパソコンを上回りました。この変化は、消費者の購買行動にも大きな影響を与えています。
EC市場の動向については、令和5年度電子商取引に関する市場調査によると、物販系分野のBtoC-EC市場規模は2014年以降右肩上がりで拡大しており、2023年には2014年の2.2倍となる14兆6,760億円に達しました。特に注目すべきは、物販系分野のBtoC-EC市場におけるスマートフォン比率が年々上昇し、2023年には約60%を占めるまでになったことです。今後もEC市場でのスマートフォン利用が増えることが見込まれています。
宅配便取扱個数については、国土交通省の令和5年度宅配便など取扱個数の調査によると、コロナ前から緩やかな増加傾向にあったものが、2019年から2020年にかけて大きく増加しました。その後は横ばいで推移していますが、EC市場の拡大に伴い宅配便取扱個数も増加していくことが見込まれています。
宅配業界の現状と課題として、近年では置き配や宅配ロッカー、宅配ボックスなど受取方法が多様化している一方で、物流を取り巻く環境には様々な課題も存在していることが指摘されています。持続可能な物流の実現のため、荷主企業や消費者の意識改革、物流プロセスの課題解決、物流標準化・効率化の推進に向けた環境整備などの取組が求められています。
記事は、コロナ禍やEC市場規模拡大の影響を受けて宅配業が大きく成長したことを示すとともに、今後も継続的な成長が見込まれる中で、物流業界が直面する課題への対応が重要であると結論づけています。