経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループが2024年12月20日に発表した、キャッシュレス決済に伴う加盟店負担の軽減に向けた実現方法等の調査事業報告書です。株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所クロスインダストリーファイナンスコンサルティングユニットが調査を実施しています。
事業の背景と目的
キャッシュレス決済の推進は、消費者の利便性向上、店舗の効率化・売上拡大、データ利活用の促進に資する重要な取組みであり、政府は成長戦略フォローアップにおいて「2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」としています。
令和5年度においては、キャッシュレス決済に伴う加盟店負担低減に向けたさらなる方策検討に向けた「令和5年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(クレジットカード取引関係における加盟店の負担軽減に向けたモニタリング調査及び検討に関する業務・B2Bキャッシュレス取引拡大に向けた調査事業)」を通じ、海外諸国で実施されている取組みの背景及び内容、効果・影響について調査を実施し、日本の取組みとの比較・検証や各取組みの日本人の適合性について検討を行いました。
調査の実施内容
本事業では、昨年度調査において整理したさらなる方策の案を踏まえ、キャッシュレス決済に伴う加盟店負担低減に向け優先的に取り組むべきと考えられる方策の案をピックアップし、日本における実現可能性と効果的な実現方法等について具体的に検討しています。また、国際ブランドが公開したインターチェンジフィーの標準料率や加盟店手数料の配分率の認知度向上に向けた取組みも検討しています。
具体的には以下の3項目を実施しました:
1. 海外調査
キャッシュレス決済に伴う加盟店負担の低減に向けた更なる方策の深掘のための海外調査を実施しました。海外諸国における加盟店負担低減方策の検討状況や実施状況について詳細な調査を行い、日本への適用可能性を検証しています。
2. 深掘調査
キャッシュレス決済に伴う加盟店負担の低減に向けた更なる方策について、国内における実現可能性や効果的な実現方法を具体的に検討しました。支払いスキームや送金スキーム、手数料規制・サーチャージ解禁等に関する深掘・評価を実施しています。
3. 取組み検討
国際ブランドが公開したインターチェンジフィーの標準料率や加盟店手数料の配分率の認知度向上に向けた取組みを検討しました。これにより、加盟店がより透明性の高い環境で決済サービスを選択できるような仕組みづくりを目指しています。
調査の特徴
この調査は全227ページに及ぶ包括的な報告書となっており、現在の日本のキャッシュレス決済に係る最新動向・環境変化から、本事業が取り組む加盟店負担低減方策、深掘対象方策の選定・スコープの定義、海外調査と国内検討の詳細な分析まで幅広く網羅しています。
調査結果全体サマリーや個別方策・全体取りまとめも含まれており、インターチェンジフィーの標準料率や加盟店手数料の配分率の認知度向上に向けた取組み、および海外諸国における対応状況の詳細も付録として収録されています。
記事は、キャッシュレス決済の普及促進と加盟店負担の軽減を両立させるための政策検討に向けて、海外事例の分析と国内適用可能性の検証を通じた包括的な調査研究を実施したものと位置づけられています。