経済産業省が令和7年7月に改訂した「スピンオフ」の活用に関する手引き（制度編）について、企業がスピンオフを実施する際の法制度・税制面での取扱いを包括的に解説したものです。
スピンオフとは、企業が自社内の特定事業部門または完全子会社を切り出して独立させる手法で、分割型分割と株式分配の2つの類型があります。今回の改訂では、令和7年度税制改正においてグループ通算制度適用会社によるスピンオフの際の株式帳簿価額計算方法が見直されたことが反映されています。これにより、例えば3月末決算の企業が10月にスピンオフを実行する場合の投資簿価修正の取扱いが明確化されました。
税制適格要件としては、非支配要件、株式のみ按分交付要件、主要資産等移転要件、従業者引継要件（80％以上）、事業継続要件、役員引継要件などが定められており、これらを満たすことで株主への譲渡損益課税の繰延べや配当課税の対象外措置が適用されます。さらに、東京証券取引所の有価証券上場規程改正により、スピンオフされる会社の株式を権利落ち日から上場可能とすることで、投資家保護とスピンオフの活用促進が図られています。
記事は、本手引きがQ&A形式で一般的な質問、上場手続き、税務処理、会計処理に関する実務上の疑問に詳細に回答しており、企業がスピンオフを戦略的な事業再編手法として活用するための実践的な指針となっていると説明しています。