ジェトロが報告したインド・グジャラート州南部で進む半導体製造事業について、半導体OSAT(後工程)企業スチ・セミコンの取組を詳細に紹介したものです。
インドは「半導体大国」を目指す国家戦略の下、総額100億ドル規模の半導体製造インセンティブ制度を導入し、国内外の企業誘致を積極的に進めています。その中で、グジャラート州は「半導体の首都」を標榜し、州独自の優遇策も加えて半導体産業の集積を図っています。スチ・セミコンは、この環境下で事業展開する代表的な企業の一つです。
スチ・セミコンは、グジャラート州スーラト近郊に最新鋭のOSAT施設を建設し、2024年に操業を開始しました。同社は、半導体チップの組立、テスト、パッケージングを行う後工程に特化しており、月産能力は5000万個に達します。特筆すべきは、インド国内需要だけでなく、グローバル市場向けの生産拠点として位置づけられている点です。最先端の自動化設備と品質管理システムを導入し、国際標準に準拠した生産体制を構築しています。
人材育成も重要な取組の一つです。同社は地元の工科大学と連携し、半導体エンジニアの育成プログラムを実施しています。また、日本やシンガポールの提携企業での研修制度も設けており、国際水準の技術者育成に注力しています。現在、約2000人の従業員を雇用し、今後3年間で5000人規模まで拡大する計画です。
サプライチェーンの観点では、中国一極集中からの脱却を図るグローバル企業にとって、インドは重要な代替生産拠点となっています。スチ・セミコンは、日系を含む複数の大手半導体メーカーと供給契約を締結しており、車載用半導体やIoTデバイス向けチップの生産を行っています。
記事は、インドの半導体産業が、政府の強力な支援、豊富な人材、グローバルサプライチェーンの多様化ニーズを背景に、急速に成長している状況を示しており、日本企業にとっても重要なパートナーシップの機会があることを示唆しています。