農林水産省が令和7年6月に更新した「濃厚飼料をめぐる情勢」は、畜産業における飼料、特に濃厚飼料の現状と課題、国産飼料の生産拡大に向けた取り組みについて詳細に解説したものです。
主要なポイント
飼料自給率と濃厚飼料の現状
- 令和5年度の飼料供給量(TDNベース)は、粗飼料20%、濃厚飼料80%の割合
- 経営コストに占める飼料費の割合は、繁殖牛44%、肥育牛40%、生乳48%(北海道)・56%(都府県)、肥育豚67%、ブロイラー59%、採卵経営57%
- 配・混合飼料の原料使用量(令和6年度)は計2,383万トンで、とうもろこしが約5割を占める
- とうもろこしの輸入先は米国81%、ブラジル18%(令和6年度)
国産濃厚飼料の生産拡大
- 子実用とうもろこしの作付面積は令和6年度で約2,960ha(子実とうもろこし約2,810ha、イアコーン約150ha)
- 生産量は約18,000トン(令和6年度)
- 地域別では北海道が最も多く、作付面積の約65%(1,911ha)、生産量の約72%(13,852トン)を占める
- 東北地域が次いで多く、作付面積の約20%(603ha)、生産量の約18%(3,490トン)
子実用とうもろこし生産の課題と対策
- 耐湿性が低く湿田での栽培が困難なため、額縁明渠、弾丸暗渠、心土破砕等の排水対策が必要
- 輸入飼料価格よりも生産費が高い
- 販売先(畜産農家)の確保が必要
- 収穫、調製、保管作業の担い手、機械、場所の確保が課題
飼料価格の動向
- シカゴ相場、海上運賃、為替相場の変動が飼料用とうもろこし輸入価格に影響
- 単体飼料用とうもろこしの工場渡価格は市場動向により変動
- 配合飼料工場は主に太平洋側の港湾地域に立地(企業数57社、工場数102工場)
記事は、国産飼料の生産拡大による飼料自給率向上と、輸入飼料価格の変動リスクへの対応の重要性を示しています。