三井住友トラスト・アセットマネジメントが2025年6月27日に発行した「投資INSIDE-OUT vol.348」における、円高環境下でも魅力的な日本株投資に関する分析レポートです。
本レポートでは、「円高と共存可能な日本株③」として、日本経済の自律的な回復過程について分析しています。コロナ禍以降の日本株の歴史的な上昇は、単に円安によって押し上げられたわけではなく、日本経済の根本的な構造変化やコーポレートガバナンス改革を反映しながら、34年ぶりに過去最高値を更新したことが指摘されています。
日本経済の構造変化として、数十年続いたデフレから緩やかなインフレへの転換点にあることが挙げられています。消費者の期待インフレが十分に高まり、企業側は適切な価格設定ができるようになるなど、経済の正常化が進んでいます。コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争による供給不足で物価上昇が先行しましたが、経済活動の再開に伴う人手不足などを背景に賃金上昇が追いつきつつあります。
レポートに掲載されたグラフによると、2019年1月から2025年4月までの名目賃金と実質賃金の推移(前年同月比)を見ると、実質賃金は長らくマイナス圏にありましたが、徐々に改善傾向を示しています。今後は実質賃金の上昇幅が拡大することで、個人消費の活性化が期待されています。
人手不足は企業に省力化のための生産ライン見直しや、デジタル化のための投資を促しており、こうした傾向は自律的に動き出したトレンドとして、今後も着実な進展が期待できるとしています。これらの省力化投資は、円高による企業収益への影響を相殺する可能性があることが示唆されています。
コーポレートガバナンス改革については、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請が大きく注目されました。金融庁、経済産業省、証券界など様々な主体によって推進されている企業価値向上に向けた取り組みの成果として、株式の持合い解消の進展や、株主総会での株主提案の増加などが現れています。
レポートは、4月上旬に見られたトランプ関税による金融市場の混乱は一旦収まったものの、今後の行方は予断を許さないとしています。年後半に向けては、関税を含めてトランプ政権の政策が世界景気や企業業績に及ぼす影響が明らかになるとし、投資環境に落ち着きが見えれば、市場の注目はファンダメンタルズに回帰すると予想しています。
結論として、今後緩やかに円高が進んだとしても、日本経済の構造変化や日本企業の収益力の回復に着目した日本株の魅力は変わらないとの見解が示されています。円高環境下でも、省力化投資による生産性向上や、コーポレートガバナンス改革による企業価値向上など、日本株投資の魅力的な要因が存在することを強調しています。