この記事は、日本のノンバンク(非銀行金融)セクターの規模と特徴を国際比較の観点から分析したものです。
主要なポイント
1. 日本のノンバンクセクターの規模
- 総資産:580兆円(GDP比103%)
- 銀行部門比:40%(銀行1,450兆円)
- 構成:保険250兆円、年金170兆円、投信110兆円
- 10年間成長率:+65%(銀行は+15%)
2. 国際比較での位置づけ
- 米国:ノンバンク比率75%(銀行を大幅に上回る)
- EU:同55%(投資ファンド中心)
- 中国:同45%(急成長も規制強化)
- 日本:同40%(先進国で最も銀行優位)
3. セクター別の特徴
- 保険:生保が突出、超長期運用で国債保有
- 年金:GPIFが世界最大、株式比率上昇
- 投信:個人向け拡大もREIT偏重
- その他:FinTech、ノンバンク融資は限定的
4. 金融仲介における役割
- 企業金融:直接金融比率25%(米国65%)
- 家計資産:預金偏重54%(投信は8%)
- リスクマネー:VC投資額は米国の1/50
- 国債保有:ノンバンクが45%保有
5. 政策的含意とリスク
- 成長促進:資産運用業の育成が急務
- リスク分散:銀行集中リスクの軽減必要
- 規制対応:NBFIへの国際規制強化に備え
- 金融安定:相互連関性のモニタリング強化
記事は、日本の金融システムの発展には、ノンバンクセクターの一層の成長と機能強化が不可欠であり、「貯蓄から投資へ」の実現に向けた構造改革が必要と結論づけています。