カーボンニュートラル実現に向けて、ガソリンに混合して使用する「バイオエタノール」の活用が期待されていること about解説した記事です。
日本が目指す2050カーボンニュートラルの実現には、CO2排出量の約2割を占める運輸部門の削減が不可欠です。自動車分野では、電気自動車（EV）、燃料電池自動車（FCV）、ハイブリッド自動車（HEV）など多様な選択肢を通じてカーボンニュートラルを目指す「マルチパスウェイ戦略」が基本方針となっています。その中で、エネルギー密度が高く貯蔵性に優れる液体燃料（ガソリン）は今後も一定の需要が残ると見込まれており、これをいかにカーボンニュートラル化するかが重要な課題となっています。
将来的には、CO2と水素を合成して製造する「合成燃料（e-fuel）」が期待されていますが、製造コストが高く、2030年代前半の商用化を目指している段階です。そこで、合成燃料の商用化までの移行期に重要な役割を果たすのが、トウモロコシやサトウキビなどを発酵させて製造する「バイオエタノール」です。原料となる植物が成長過程で大気中のCO2を吸収することから、カーボンニュートラルな燃料とみなされています。
海外では、ガソリンへのバイオエタノール混合利用が活発に進められています。多くの国が「E10」（バイオエタノール10%混合）を導入しており、インドは2025年までに「E20」、ブラジルは2030年までに「E30」の実現を目指しています。日本でも石油精製事業者に年間50万KLのバイオエタノール利用が義務付けられていますが、現在はETBEという添加剤に加工して混合する方式を採用しています。
日本でバイオエタノールの導入を拡大するには、①調達ポテンシャル（安定的なサプライチェーン構築）、②ガソリンへの混合方式（直接混合への対応）、③燃料品質（環境・安全基準の策定）、④供給インフラ（新たな設備投資）、⑤車両対応（E10を超える混合率への対応）という5つの課題を解決する必要があります。6/10/2025には、これらの課題に対応するアクションプランが策定されており、バイオエタノールの本格的な導入に向けた取り組みが進められています。