バーゼル銀行監督委員会が公表した「銀行とノンバンク金融仲介(NBFI)の相互連関性」に関する報告書について報告したものです。
バーゼル銀行監督委員会は2025年7月10日、銀行とノンバンク金融仲介(NBFI:Non-Bank Financial Intermediaries)セクターの相互連関性に関する報告書を公表しました。NBFIセクターは、投資ファンド、保険会社、年金基金、証券会社、フィンテック企業などを含む、銀行以外の金融仲介機関の総称です。
報告書の背景として、NBFIセクターが近年急速に成長していることが挙げられます。これらの機関は、資金調達、投資、リスク管理、決済サービスなど、幅広い活動やサービスを通じて銀行セクターと密接に連関しています。特に2008年の金融危機以降、金融規制の強化により銀行の活動が制限される中で、NBFIセクターが金融仲介において重要な役割を担うようになりました。
報告書の主要な内容は、NBFIの破綻が銀行や金融安定に対して及ぼし得る影響の分析です。委員会は例示的なシナリオに基づいて検討を行い、以下のような伝播経路を特定しています。第一に、銀行からNBFIへの直接的なエクスポージャー(融資、投資など)による信用リスク。第二に、NBFIとの取引を通じたカウンターパーティリスク。第三に、市場の混乱による資産価格の下落や流動性の枯渇による間接的影響。第四に、投資家心理の悪化による信用収縮や資金調達コストの上昇。
これらのリスクは、金融システム全体の安定性に影響を与える可能性があるため、銀行監督当局にとって重要な検討課題となっています。報告書は、銀行がNBFIとの取引においてより慎重なリスク管理を行う必要性を強調するとともに、監督当局に対しても、セクター横断的な視点でのモニタリングと規制の重要性を指摘しています。
記事は、金融システムの相互連関性が高まる中で、銀行とNBFIの関係を包括的に理解し、適切なリスク管理と監督を行うことが金融安定の維持に不可欠であることを結論づけています。