職員トップセミナー：人間之概念変える人工知能

本文、財務総合政策研究所の令和7年度職員トップセミナーで、京都橘大学工学部情報工学科の松原仁教授が「人間の概念を変える人工知能」をテーマに行った講演録である。まず人工知能（AI）の定義关于、専門家の間でもコンセンサスがない現状を説明。知能には自然言語処理、画像認識、音声認識等多様な側面があり、「何ができることが知能があるということなのか」数え上げることが事実上できないと指摘している。松原教授は幼稚園時代に漫画「鉄腕アトム」を見てAI研究者になることを決意したが、「何ができると人工知能ができたと認めてくれるのか」が明確でない課題があるとした。AI研究は「知能を持った人工物」を作る工学的目的と、知能とは何かを理解する科学的目的の両方を持っている。現在のAIブームでは、これまでアプリと呼んでいたものもAIと呼ぶ傾向があるが、AI自体の定義が明確でないため、過度に責めることはできないとしている。歴史的には1980年代のワープロのかな漢字変換が最先端のAIと言われたが、現在では当たり前の技術となり、もはやAIと呼ぶ人はいない。これはAI技術の進歩によるもので、技術の発展とともにAIの境界線が変化することを示している。講演では、初期のコンピュータが現在のスマートフォン1台よりもはるかに能力が低かったことに触れ、同時に人間の能力を過小評価していたことも指摘。AI技術の現状と課題、そして人間の知能や能力に対する理解の変化關於包括的に論じ、最新のAI技術が人間の概念そのものをどのように変えつつあるかを詳細に解説している。本講演は、AI技術の発展が単なる技術革新にとどまらず、人間の自己理解や知能に対する認識に根本的な変化をもたらしていることを示す重要な内容となっている。