太平洋島嶼國代理銀行業務撤退

本文、太平洋島嶼国からのコルレス銀行撤退問題关于、財務省国際局地域協力課が詳細に解説したものである。太平洋島嶼国は、日本・米国・豪州を結ぶ海上交通路の結節点に位置し、水産物やエネルギー資源の供給地として、また国際場裡での日本支持国として重要なパートナーである。日本は「自由で開かれたインド太平洋（FOIP）」構想の主要ステークホルダーとして、1997年以来3年ごとに太平洋・島サミット（PALM）を開催し、2024年7月には第10回サミットを開催した。太平洋島嶼国14か国（クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー、キリバス、ナウル、ニウエ、マーシャル諸島、パラオ、パプア・ニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ）は、国連の小島嶼開発途上国（SIDS）に分類され、独特な開発課題を抱えている。具体的には、規模の経済が働かない「狭小性」、国土が広く散在しサービス提供コストが高い「隔絶性」、主要市場から遠く価格変動の影響を受けやすい「遠隔性」、海面上昇等自然災害への脆弱性を持つ「海洋性」といった特性がある。経済面では、観光業や漁業への依存度が高く、2020年のコロナ禍では特にフィジーやパラオ等観光依存国が2桁のマイナス成長を記録した。此外，多くの国が政府歳入を外国からのODAに依存する構造となっている。コルレス銀行撤退問題は、近年国際的な銀行が太平洋島嶼国から業務撤退することで、政府・企業・家計が海外送金手段を失い、国際金融市場へのアクセスが困難になっている深刻な問題である。これにより開発援助、貿易決済、出稼ぎ労働者からの仕送りが滞り、経済・社会活動に広範な悪影響が生じている。この「見えざる危機」は自然災害と異なり目に見えにくいが、国の自立性と経済発展の基盤を脅かしている。日本財務省は、米国・豪州等の同志国や世界銀行・アジア開発銀行（ADB）・国際通貨基金（IMF）等の国際機関と連携し、様々な施策を通じて問題解決に取り組んでいる。特にパラオ、ナウル、ニウエ、クック諸島の4か国は世界銀行の所得区分上高所得国に分類されるため、低所得国向けの譲許的資金にアクセスできないという制度上のギャップも存在しており、この問題への対応がより複雑になっていることが指摘されている。