大学におけるハラスメント防止等の推進に向けた普及啓発に関する調査研究報告書

文部科学省が委託事業として実施した「大学におけるハラスメント防止等の推進に向けた普及啓発に関する調査研究報告書」が公表されました。近年、大学におけるハラスメント事案の発生が社会問題となっており、学生・教職員が安心して学習・研究・就業できる環境整備が急務となっています。調査では、全国の大学におけるハラスメント防止体制の実態、相談・救済制度の運用状況、予防教育の取り組み、事案対応の課題などが詳細に分析されています。主要な課題として、ハラスメントの定義・認識の不統一、相談窓口の認知度不足、被害者支援体制の不備、加害者への適切な措置の困難性、組織的対応の不十分さなどが挙げられています。特に、指導教員と学生の関係における権力格差、研究室の閉鎖性、アカデミック・ハラスメントの特殊性などが大学特有の課題として指摘されています。報告書では、予防教育の充実、相談体制の強化、迅速・公正な事案処理、被害者保護・支援の徹底、組織風土の改革などの改善策を提言しており、各大学での取り組み強化が期待されています。