労働安全衛生調査(実態調査)令和6年結果

厚生労働省が発表した「労働安全衛生調査(実態調査)令和6年結果」は、全国の事業所における労働安全衛生の取り組み状況と労働災害防止対策の実態を詳細に調査した統計報告書です。

調査概要では、常用労働者10人以上を雇用する民営事業所約14,000事業所と労働者約18,000人を対象に、令和6年10月末現在の状況について調査を実施しました。回収率は事業所調査が76.8%、労働者調査が68.4%となっています。

労働災害発生状況では、令和6年の死傷災害発生件数が前年比3.8%増の約13万5,400件となり、3年連続で増加しています。業種別では製造業が約2万8,600件(21.1%)で最多、建設業が約1万9,800件(14.6%)、陸上貨物運送事業が約1万6,200件(12.0%)と続いています。千人率では建設業が5.23(前年比+0.18)と最も高くなっています。

重篤災害の状況では、死亡災害が774件(前年比-52件、-6.3%)と減少傾向にある一方、休業4日以上の災害は約13万4,600件(同+4,800件、+3.7%)と増加しています。年齢別では60歳以上の高齢労働者の災害が全体の27.8%を占め、高齢化の進展に伴い増加傾向にあります。

安全衛生管理体制では、安全管理者の選任義務がある事業所(常用労働者50人以上)のうち98.7%で選任済みとなっています。衛生管理者については選任義務事業所の97.4%で選任されており、産業医については88.9%の事業所で選任されています。小規模事業所(10-49人)では安全衛生推進者等の配置率が67.3%にとどまっています。

安全衛生委員会の設置状況では、設置義務がある事業所(常用労働者50人以上)の96.2%で設置されており、月1回以上開催している事業所が89.7%となっています。委員会での主な審議事項は「労働災害の原因及び再発防止対策」(78.4%)、「安全衛生に関する規程の作成・変更」(65.7%)、「職場巡視結果」(58.9%)となっています。

リスクアセスメントの実施状況では、実施している事業所が全体の71.2%(前年比+2.3ポイント)となり、着実に普及が進んでいます。業種別では化学工業(91.4%)、製造業(86.7%)で実施率が高く、建設業(58.3%)、サービス業(52.1%)で相対的に低くなっています。実施していない理由は「実施方法がわからない」(42.6%)、「人材・時間不足」(38.9%)が主な要因です。

健康診断の実施状況では、一般健康診断を実施している事業所が98.9%、有所見率は59.7%(前年比+1.2ポイント)となっています。有所見率を項目別に見ると、血中脂質検査(32.1%)、血圧測定(28.4%)、肝機能検査(17.6%)の順で高くなっています。特殊健康診断は対象事業所の92.3%で実施されています。

ストレスチェック制度では、実施義務がある事業所(常用労働者50人以上)の94.1%で実施されており、受検率は平均82.3%となっています。高ストレス者の割合は全体の9.8%で、そのうち医師面接指導を受けた割合は14.7%にとどまっています。集団分析を実施している事業所は78.6%で、職場環境改善に活用している事業所は63.2%となっています。

メンタルヘルス対策では、取り組んでいる事業所が全体の65.4%(前年比+1.8ポイント)となっています。具体的な取り組み内容は「ストレスチェックの実施」(72.8%)、「管理監督者への教育研修・情報提供」(58.4%)、「労働者への教育研修・情報提供」(49.7%)が上位を占めています。

過重労働対策では、月80時間超の時間外労働を行った労働者がいる事業所が22.3%あり、そのうち医師面接指導を実施した事業所は76.9%となっています。長時間労働者への健康確保措置として「労働時間の短縮」(64.2%)、「健康相談窓口の設置」(38.7%)、「産業医等による面接指導」(35.1%)が実施されています。

化学物質管理では、令和6年4月から施行された改正労働安全衛生法に基づく自律的な管理に移行しており、対象事業所の87.3%でリスクアセスメントが実施されています。SDS(安全データシート)の入手率は94.7%と高水準で、リスクに応じた保護具の使用率は89.2%となっています。

デジタル技術活用では、IoTセンサーによる作業環境監視(導入率12.4%)、ウェアラブルデバイスによる健康管理(8.7%)、AIを活用した危険予知システム(5.3%)等の先進技術の導入が緩やかに進んでいます。導入効果として「災害の未然防止」(78.9%)、「作業効率の向上」(65.4%)、「労働者の意識向上」(58.7%)が確認されています。

今後の課題では、高齢労働者の災害防止、中小企業での安全衛生管理体制強化、メンタルヘルス対策の充実、新技術導入による労働災害防止、化学物質の自律的管理の推進等が重要な政策課題として挙げられています。

記事は、労働安全衛生の取り組みは着実に進展しているものの、労働災害の増加傾向や新たな課題への対応が急務であり、事業者・労働者・行政が一体となった総合的な対策推進が重要であると結論づけています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。