和倉港護岸改良工事の国代行実施
国土交通省は2025年8月18日、石川県七尾市の和倉港における護岸の改良工事及び関連権限について、9月1日から国が代行を開始すると発表した。この措置は港湾法第52条の2の規定に基づき、7月22日付で国が代行することを決定していたもので、今回その具体的な開始日程が明らかになった。
代行制度適用の背景と法的根拠
港湾法第52条の2に規定される国の代行制度は、地方自治体が管理する港湾において、特に重要性が高く、かつ地方自治体単独では実施が困難な工事等について、国が直接代行して実施する制度である。和倉港は石川県能登半島に位置する重要な地方港湾であり、地域の海上交通や物流、観光産業を支える重要なインフラとして機能している。今回の措置により、専門的技術力と財政力を持つ国が直接工事を実施することで、より効率的で高品質な護岸改良が可能となる。
代行対象工事と権限の詳細
国が代行する工事は和倉港の一部区域における護岸の改良工事である。具体的な代行区域については添付資料の図面で詳細が示されている。また工事の実施に伴い、港湾法第37条第1項に規定する工事等の許可権限についても国が代行することとなる。これにより、工事実施に必要な各種許可手続きを国が一体的に処理することで、事業の迅速な推進が可能となる。
実施体制と責任分担
代行制度に関する全体的な調整は、国土交通省港湾局技術企画課港湾建設室が担当し、実際の工事実施については北陸地方整備局港湾空港部港湾事業企画課が現地での責任を負う体制となっている。この二重の管理体制により、政策的判断と現場での技術的対応の両面から適切な事業推進を図る方針である。
地域への影響と期待される効果
和倉港の護岸改良工事の実施により、港湾の安全性と機能性の大幅な向上が期待される。特に護岸の耐久性強化により、荒天時の波浪に対する防護機能が向上し、港湾利用者の安全確保と施設の長期的安定性が実現される。また工事期間中は一時的な影響が予想されるものの、完成後は地域の海上交通基盤として、能登半島の経済活動や観光振興に大きく寄与することが期待されている。国による直接代行により、高い技術水準と確実な工程管理の下で事業が推進される見込みである。