農林水産省が実施している令和6年産米の相対取引価格・数量調査について、2025年7月実績を取りまとめて公表したものです。
7月実績の概要
令和7年7月における令和6年産米の相対取引価格は、全銘柄平均で26,918円/玄米60kgとなり、対前月比▲3%の下落を示しました。取引数量は全銘柄合計で4.0万トンとなり、令和6年産米の取引数量全体に占める割合は約2%となっています。この数値は、令和6年産米の取引が終盤を迎えていることを示しており、新米の出回りを控えた季節的な傾向が反映されています。
米政策の見直しと情報提供の意義
平成30年産からの米政策見直しにおいては、生産者や集荷業者・団体の主体的な経営判断や販売戦略に基づく需要対応型の米生産を推進する環境整備が進められています。この一環として平成26年3月から開始された米流通に係るきめ細かい需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の定期的な提供は、市場関係者の適切な経営判断を支援する重要な政策インフラとなっています。
調査方法と対象
本調査は、米の出荷販売業者、団体等からの報告内容を農林水産省が取りまとめるものです。産地品種銘柄ごとの価格は、相対取引契約の価格(運賃、包装代、消費税を含む1等米の価格)を加重平均したものであり、数量は同契約の数量の合計値として集計されています。調査対象業者や取りまとめの区分等については、添付資料の脚注において詳細な説明が提供されています。
公表資料の充実と長期的視点
今回の公表では、速報版の他に複数の参考資料が提供されており、相対取引価格の推移(平成24年産~令和6年産)、長期的な主食用米の価格動向、相対取引契約数量の推移、令和6年産米の概算金設定と相対取引価格の状況等、多角的な分析視点が提供されています。これらの資料により、短期的な価格変動だけでなく、中長期的な米価動向の理解が可能となっています。
米流通構造の透明性向上
相対取引価格・数量の定期的な公表は、米流通における価格形成の透明性向上と、生産者・流通業者・消費者間の情報格差解消に重要な役割を果たしています。特に、産地銘柄別の詳細な価格・数量情報の提供により、各産地の競争力や消費者ニーズへの対応状況を客観的に評価することが可能となっています。
米価安定化への貢献
定期的な価格・数量情報の提供は、市場参加者の予見可能性を高め、過度な価格変動の抑制や需給バランスの適正化に寄与しています。また、生産者の営農計画策定や流通業者の仕入・販売戦略の立案において、重要な判断材料として活用されており、米産業全体の安定的発展を支援する仕組みとなっています。
記事は、農林水産省による米の相対取引価格・数量調査が、米政策の見直し方針の下で市場機能を活用した需要対応型米生産の実現に向けた重要な政策ツールとして機能していることを示しています。