RIETI PIVOT プロジェクト詳細要約
経済産業省の若手有志による新政策立案プロジェクトPIVOT(Policy Innovations for Valuable Outcomes and Transformation)の活動内容と成果について詳細に分析したものです。
主要なポイント
1. PIVOTプロジェクトの概要と背景
- 2024年3月に経済産業省が策定したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に基づく若手有志プログラム
- 所属部署を超えた多様な力の掛け合わせによる本質的課題への挑戦を目的
- 6つのテーマのうち「イノベーション資源の流動化」を担当し、人材・技術・設備の3視点から検討
- 延べ100人近い外部有識者との意見交換を経て最終報告書を取りまとめ
2. 人材流動化における越境学習の推進
- 大企業人材のスタートアップへの越境学習促進による新たな視点獲得と事業加速化
- 越境学習による「事業のイノベーション」と「組織のイノベーション」の2つの効果を確認
- スタートアップフレンドリーな風土づくりと橋渡し人材育成の重要性を明確化
- 越境学習の事例集とガイドライン作成により、企業における実践促進を支援
3. 技術流動化における休眠特許活用の促進
- 大企業の研究開発投資の約6割が事業化されず消滅している現状を問題視
- 日本企業の未利用特許率46%という他国比較で顕著に高い水準の改善が急務
- 業界ごとのライセンス料率と過去の裁判例における料率調査・公表による透明性向上
- 未利用特許を集約してライセンス収入を得るビジネスモデルの実態調査・公開
4. 設備共用における研究インフラ開放の拡大
- 研究開発型スタートアップの設備不足という現場ニーズに対応
- 産総研等の国立研究開発法人が保有する最先端設備の効率的利用促進
- 産総研とAIST Solutionsが一体となった持続可能なビジネスモデル構築
- 民間的思考を導入した研究設備共用促進ガイドラインの策定
5. PIVOT活動の意義と今後の展開
- 若手職員による省庁横断的な政策立案の新たなモデルケース創出
- 本務とは異なる環境での議論による政策立案の幅の拡大と質の向上
- 事務次官・官房長への直接提案機会による組織内での実効性確保
- 組織の中心によるサポート体制がサステナブルな取り組みの基盤となることを実証
記事は、若手職員の柔軟な発想と省内横断的な取り組みにより、従来の縦割り行政を超えた総合的なイノベーション政策の方向性を示し、PIVOT活動自体をノウハウとして社会全体に広めることで更なるイノベーション創出を目指すと結論づけています。