能動的サイバー防御２法案の国会論議（２）～通信情報の利用と通信の秘密：第217回国会の論議の焦点（2）

参議院事務局による第217回国会の論議の焦点シリーズの一環で、能動的サイバー防御法案に関する国会論議を詳細に分析した記事です。特に通信情報の利用と通信の秘密の関係について、法案の合憲性と個人の権利保護の観点から検討しています。能動的サイバー防御とは、サイバー攻撃の予兆を早期に発見し、攻撃を未然に防ぐための積極的な防御措置で、従来の受動的な対応から踏み込んだ対策です。法案では、重要インフラ事業者等の通信を政府機関が監視し、悪意のある通信を検知・遮断する権限が規定されていますが、これが憲法21条の通信の秘密に抵触する可能性が論議されました。国会では、監視の対象範囲、情報収集の基準、収集した情報の管理・利用制限、第三者機関による監督、緊急時の措置範囲などについて詳細な質疑が行われています。サイバーセキュリティの強化と基本的人権の保護という相反する要請をいかに調和させるかが、今後の制度運用における重要な課題となっています。