令和7年度の日本経済の動向と今後必要となる政策の検討について、内閣府が包括的に分析したものです。
本報告は「内外のリスクを乗り越え、賃上げを起点とした成長型経済の実現へ」をサブタイトルとして、日本経済が名目GDP600兆円を初めて超えるとともに、2025年の春季労使交渉における賃上げ率が33年ぶりの高さとなった2024年を更に上回る堅調な結果となるなど、近年にはない明るい動きが続いていることを評価しています。
第1章では、2025年半ばまでのマクロ経済の動向等について、様々なデータを活用しつつ詳細にレビューしています。具体的には、今回の景気回復局面について、輸出・製造業が牽引した過去2回の長期回復局面との違いを明らかにし、米国の関税引上げによる我が国経済を直接的・間接的に下押しする大きなリスクとなっていることを分析しています。
第2章では、家計部門に注目し、持続的な賃金上昇が確立し、個人消費の回復がより強いものとなるための課題について議論しています。その中で、まず、本格的なものには実施した内閣府独自の調査結果も踏まえ、賃金・所得の伸びに対して個人消費の回復力が弱くなっている背景について詳しく分析しています。
第3章では、変化するグローバル経済と我が国企業部門の課題について検討しています。企業の価格・賃金設定行動や経済主体の物価上昇に対する認識が変容し、賃金と物価の好循環がようやく回り始めたことをデータで確認するとともに、その定着に向けたリスクと課題を議論しています。
記事は、我が国経済が、この逆境を乗り越え、コストカット型経済から脱却し、成長型経済への移行を確実なものとすることができるかが重要な試練に直面していると言えると結論づけています。