文化庁宗務課が令和5年度から令和6年度にかけて実施した、フィリピンにおける宗教法人制度と宗教事情に関する包括的な調査報告書。
主要なポイント
1. フィリピンの宗教概況
- 人口の約79%がカトリック教徒(2020年時点)
- プロテスタント諸教会、イグレシア・ニ・クリスト等のキリスト教系
- イスラム教徒は主にミンダナオ地域に集中
- 憲法による政教分離原則の確立
2. 宗教法人制度の特徴
- 証券取引委員会(SEC)による宗教法人・宗教結社の監督
- 宗教法人格取得の要件と手続き
- 非営利法人としての位置づけ
- 宗教活動の自由と法的保護
3. 税制上の取扱い
- 宗教団体への包括的な税制優遇措置
- 礼拝施設・宗教活動への非課税措置
- 寄付金控除制度の仕組み
- 収益事業に対する課税の考え方
4. 歴史的背景と現代的課題
- スペイン植民地時代からの宗教的影響
- アメリカ統治期における信教の自由の確立
- 独立後の宗教政策の展開
- 宗教間対話と社会的役割
本調査は、日本の宗教行政の参考資料として、また宗教団体・研究者・関係者が比較宗教制度を理解する上で貴重な情報を提供している。