【演説概要・外交防衛重視】 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は2025年9月10日、欧州議会本会議で2024年12月再任後初の一般教書演説を実施した。今後1年間の欧州委活動方針を表明する重要演説で、冒頭から外交・防衛分野に焦点を当て、ウクライナやガザ情勢等の地政学的課題に対処するため「欧州独立の瞬間」であるとして、意見不一致が目立つ加盟国・欧州議会に結束を強く要請した。
【米国関税合意擁護・独自政策強調】
トランプ米政権への対応では、左派・極右から強く批判されている米国との関税合意について「疑いなく最善の合意」と明確に擁護する一方、環境・デジタル分野の規制については「EUが独自で決定する問題」だと強調し、対米関係でのEUの自主性を示した。
【産業政策・クリーン技術推進】 域内産業競争力強化では、競争力コンパス等で既に発表済み政策が多く新規発表は限定的。クリーンテック域内生産強化に向けた財政支援やネットゼロ産業法の「メード・イン・ヨーロッパ」公共調達本格導入を再確認。自動車分野では中国製EV対抗として「手頃な小型車イニシアチブ」を新提案し、域内製安価小型EVの普及を目指すと発表した。