この記事は、2025年度の病院・医療機関における賃上げ実態を緊急調査し、医療従事者の処遇改善の現状と課題を分析したものです。
主要なポイント
1. 賃上げ実施状況の二極化
- 賃上げ実施:55%(前年度67%から12ポイント低下)
- 平均賃上げ率:2.51%(全産業平均3.58%を大きく下回る)
- 病床規模別:400床以上72%実施、100床未満38%実施
- 地域差:都市部61%、地方部45%と格差拡大
2. 職種別賃上げの実態
- 医師:平均3.2%(年収ベースで約50万円増)
- 看護師:平均2.8%(月額約7,000円増)
- 医療技術職:平均2.3%
- 事務職:平均1.9%(最も低い上昇率)
3. 賃上げ促進税制の利用状況
- 制度利用:わずか19%(認知度は86%)
- 利用しない理由:「赤字で適用不可」が52%で最多
- 「手続きが煩雑」28%、「要件を満たせない」15%
- 黒字病院でも利用率は35%にとどまる
4. 経営状況と賃上げ余力
- 医業収支が赤字:48%の病院(コロナ前は25%)
- 人件費率:平均56.8%(50%超が経営圧迫ライン)
- 診療報酬改定の影響:0.88%増では賃上げ原資不足
- 光熱費・医療材料費の高騰が経営を圧迫
5. 今後の課題と対策
- 診療報酬の更なる引き上げ要望:78%の病院
- 補助金による直接支援の必要性
- 業務効率化・DX推進による生産性向上
- 地域医療連携による経営基盤強化
記事は、医療の質を維持しながら従事者の処遇改善を実現するには、診療報酬制度の抜本的見直しと経営支援策の拡充が不可欠であると提言しています。