国土交通省総合政策局建設経済統計調査室が7/17/2025に公表した「建設総合統計(令和5/7分)」 aboutの報告です。
建設総合統計は、国内の建設活動を出来高ベースで把握することを目的とした加工統計です。建築着工統計調査および建設工事受注動態統計調査から得られる工事費額を着工ベースの金額として捉え、これらを工事の進捗に合わせた月次の出来高に展開し、月ごとの建設工事出来高として推計しています。この統計は、建設業界の動向を把握し、経済政策の立案や景気判断の基礎資料として活用されています。
20255月の建設工事出来高総計は4兆3,665億円となり、前年同月比4.5%増加しました。この増加は、民間部門と公共部門の両方で前年を上回る実績となったことによるものです。建設業界全体として堅調な推移を示しており、建設投資の回復基調が続いていることが確認されました。
民間部門の出来高総計は2兆8,192億円(前年同月比5.5%増)となりました。内訳をみると、建築が2兆2,355億円(同3.3%増)で、このうち居住用が1兆3,157億円(同3.7%増)、非居住用が9,197億円(同2.7%増)でした。土木は5,837億円(同14.6%増)と大幅な増加を示しました。民間土木の大幅増は、再生可能エネルギー関連施設や物流施設などの建設需要が背景にあると考えられます。
公共部門の出来高総計は1兆5,473億円(前年同月比2.7%増)となりました。内訳では、建築が4,549億円(同4.8%増)で、このうち居住用は483億円(同12.4%減)と減少しましたが、非居住用は4,066億円(同7.3%増)と増加しました。土木は1兆925億円(同1.9%増)でした。公共建築の非居住用の増加は、学校施設の耐震化・老朽化対策や防災関連施設の整備などが進んでいることを反映しています。
データの公表にあたり、国土交通省は重要な注意事項を示しています。毎年6月(4月分公表時)に、確定した建設投資額の実績値から算出される直近の補正率を用いて、直前の3月分から過去3カ年分を遡及改定しています。また、算出に用いている基礎統計等の品質改善に対応し、遡及改定する場合もあるため、今回公表された値は今後変わり得る可能性があります。
この統計データは、政府統計の総合窓口「e-Stat」で公開されており、より詳細なデータや過去の推移を確認することができます。建設総合統計は、建設業界の動向を把握する重要な指標として、政策立案者、研究者、業界関係者などに広く活用されています。